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友達が、佐々木敦の『文学拡張マニュアル』は持っておいた方が良い、と教えてくれたので、早速図書館に行き、借りてくる。とりあえず保坂和志との対談の部分を読む。保坂和志が80過ぎたあたりの小島信夫はふぬけてて、枠しかない、とかドキリとするようなことをしゃべってる。バッサバッサ切っていくのだけれど、やっぱり面白い、有意義な対談だった。私が保坂さんに対して思う複雑さはここにあって、なんで彼はこんなに自信満々なのだろうと、羨ましく思う。全面的に小説を信頼している、と保坂さんは言ってる。小説の必然に従って小説を書かされにいっている、という姿勢は共感できるし、少なくとも自分が書いてるんだ!と思って書いている人よりはフェアだけれど、そういうのはあんまり押し出すものじゃないんじゃないの、とは思う。ハイデガーっぽいし。小説(の運命?)のことを考えると、社会に向けて発言していかなくてはいけないし、そこに小説の未来が託されている、ということの意味は分かる。
最近映画化するという、川端康成『眠れる美女』の話を聞く。川端が本当に変態で嬉しい。お人形さんみたいな女の子からこういう話を聞く経験というのは、人間としてまた一つ功徳をつんだような気がする。そういう状況でもなかったのだが。
言葉以前に人間は生活しているとすれば、言葉で何かを作る一方、どうしようもない、しょうもなくもある生活みたいなものを一つの批評的な地点として持つべきじゃないのか。言葉の世界と、そこからフッと離れたもう一つの世界を持ちたい。そこに驚きがあり、それは励ましでもある、というと保坂さんもそうだし、しばらく僕は保坂さんを離れられない。
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